【住宅情報】長期優良住宅の認定実績は戸建で2割強
長期優良住宅の認定件数が伸びていない。平成29(2017)年度の認定実績は10万6611戸で住宅着工全体の11.3%。一戸建てに絞ると10万5080戸で同24.6%だが、この割合は、平成22(2010)年度以降ほぼ横ばい。住生活基本計画では2025年に認定の割合を住宅着工全体の20%にするとの成果指標を掲げている。長期優良住宅普及拡大に向けて、政策の見直しが急がれる。
国交省の「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」の5月13日の会議では、今後、認定長期優良住宅の流通量を増やしていくための方策について、意見が交わされた。長期優良住宅はそもそも、将来的な中古住宅流通市場の活性化を見据えてスタートした側面がある。会議では「中古市場で認定長期優良住宅が数として出てきていないこともあり、あまり宅建業者等においては認知がされていないのではないか」といった意見が出されているが、制度スタートから10年となり、今後ようやく認定長期優良住宅が中古市場に登場することが期待される時期となったともいえる。
しかし、長期優良住宅が中古市場で評価される環境は、必ずしも整っていない。例えば、「認定長期優良住宅の維持保全の実態がよく分かっておらず、全ての認定住宅において認定時のハードの性能が担保できているかどうか不明確」との意見がある。また、認定計画に基づく維持保全の一環として行う点検が、改正宅建業法で買主に説明が義務付けられているインスペクション(建物状況調査)と言えるかどうか明確になっていない。そのため、▽定期的に維持保全状況を所管行政庁等に報告することを検討してはどうか、▽(履歴情報)について情報サービス機関への登録を必須としてはどうか――といった意見や、▽認定に有効期限を設定してはどうか、▽維持保全計画に基づく定期的な点検を専門家が行うことを必須としてはどうか――といった高いハードルを課す提案も出されている。
「価格査定マニュアル」では、相対的に認定長期優良住宅が高く評価されることから、同マニュアルの普及・定着も必要だろう。既存住宅について、補助事業で増改築認定の普及を引き続き促進していくだけでなく、高い性能がありながら認定を受けていない既存住宅について、「増改築行為がない場合でも性能を評価し、認定してはどうか(一定の性能を有し、現に適切な維持保全がなされている既存住宅について、長期優良住宅として認定を行う)」といった提案も出されている。
村地綜合木材株式会社 出典