ナショナルデーホール
前回(大阪・関西万博の社員旅行)のコラムで、ナショナルデーホールの写真がありましたが、
あの建物の木材パネルの部分ですが、弊社が加工に携わらせていただきました。
パネルの作製には、去年の5月~7月の約3カ月ほど掛かりました。
私達が加工に使用した材料は、120角の杉の定尺材が約4500本です。
それでも建物全体の約半分のパネル数でした。(1社単独での加工は無理でした…)
建物におけるパネルの役割はと申しますと、建物自体の構造体は鉄骨造なのですが、
その水平方向(実際は勾配がありますが)の枠内にパネルを落とし込んで、
その上に通路や屋根がつくられました。
なので、パネルの下端面は化粧になる仕様でした。
パネルの作り方ですが、1パネル当たり9~10本の材料を使いました。 (1200㎜(10本組)を超えると、トラックへの積込時に荷台幅の関係で、2列に積めなくなるからです)
それを両端・真ん中の3ヶ所をボルトで締め込み、固定しました。
完成したパネルは前述の鉄骨の枠内に、平均4パネル1組として取り付けていきました。
加工時にやった工夫や苦労したことは、
工事現場が狭いと聞いていたので、パネルを施工する順番にヤマをつくりました。
(最初に使うものからヤマの上にもっていきました。)
パネルの下端が化粧なので、ヤマの一番下だけは化粧面をその内側にくるようにしました。
(現場ではひっくり返して取り付けることになりますが、それは了承済みでした。)
材料が平均1㎜でも断面が大きいと、
パネルにした時1㎝近く寸法が大きくなるので、その調整に苦労しました。
建物の端部は先が尖っているので、その角度に合わせて加工するのは神経を使いました。
ただ、ヤマの形は似たモノばかりなので、出荷時や倉庫管理は通常よりし易かったでした。
スキル面では、パネルをひっくり返す時ホイスト(天井クレーン)を使用していたので、
加工の終盤では携わった作業員全て天井クレーンマスターになっていました。(笑)
パネル製作中の時ですが、ちょっとしたメッセージを仕込んでおきました。
材を挟む面(側面側)に書きましたので直接見えることは無いですが、
万博が終わって、材料の再利用があった時に見つけてくれたらいいなって、
そんな感じで書いてみました。
でも見つからなかったらちょっと寂しいので、どの材に書いたか写真を付けておきます。(笑)
いろいろ思い出が詰まったパネルが敷き詰められたナショナルデーホールですが、
とうとう万博の開催期間も1週間を切ってしまいました。(~10/13)
大屋根リングやパビリオン内のアトラクション、屋外のイベントなどに目が向けられがちですが、
我々目線からすれば、ある意味「建築物の見本市」みたいな側面も持っています。
約半年間の活用でしたが、
改めて万博の様々な建物を造ってくれた方々に感謝したいなと思いました。
「ナショナルデーホール」を紹介している主なサイト
(EXPO2025 大阪・関西万博公式Webサイト)
https://www.expo2025.or.jp/expo-map-index/main-facilities/exponationaldayhall/
(TECTURE MAG テクチャーマガジン)