とりすみコラム

レゾルシノール樹脂接着剤の耐久性とは

皆さん、接着剤というと一般の人はセメダインかボンドを思い浮かべるでしょう。

 接着剤には、一般消費者が日曜大工などで使用する一般用と石油化学製品を製造する業界や木質製品を製造する業界が使用する工業用があります。

 接着剤の歴史は、米つぶ、カゼイン、膠(にかわ)といったものが古代の時代に使われてきました。接着剤業界は石油化学の発展と共に、驚異的な接着力のあるものを開発してきました。20年ほど前は、テレビのコマーシャルで「1滴1トン!」という瞬間接着剤も一般向きとして登場してきました。

 しかし、工業用の接着剤は、一般消費者には聞きなれないものばかりですが、木質製品の工業用としては、ユリヤ樹脂、メラミン樹脂、酢酸ビニル樹脂エマルジョン(通称:酢ビ)、水性高分子イシシアネート(通称:イソ又は白糊)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、レゾルシノール樹脂(通称:レゾ又は黒糊)といった接着剤があります。

 その中でもレゾルシノール樹脂は、耐水性、耐熱性、耐候性に優れた高性能の接着剤です。日本農林規格(JAS)では、下記の表の通り、使用環境Aのランクとしています。

 下記の表は、耐久性が要求される構造用集成材の使用環境別ランクです。この表以外の接着剤の使用は、JASでは認められていません。

 レゾルシノールは、化学的成分からいうと原油から取れる「ナフサ」を原料にして、2価のフェノールである「レゾルシン」を主剤として、硬化剤の「パラホルムアルデヒド」との化学反応によって、ガラスのように硬化し、集成材の材面に茶褐色のグルーライン(接着層)が残る接着剤です。また、その色がレゾルシノール樹脂系を使用した証拠にもなっています。このレゾルシノール樹脂は、他の業界の用途として、耐久性が必要な自動車や飛行機のタイヤに多く使用されています

 1970年(昭和45年)、当時の建設省(現在の国土交通省)の材料認定において、構造用の接着剤はレゾルシノール樹脂系でないと認めないということなりました。その耐久性、耐候性は、屋外暴露試験や木橋など雨や日光のあたる条件にさらされても接着はく離は全く無く、接着力を維持していることを証明しています。ラミナの木部は、腐朽しても、木部と接着層から剥がれることはありません。それより剥がれる前に木部が腐朽します。

 一方、農林水産省は、平成29年10月20日に防腐薬剤を注入した保存処理構造用集成材(小・中断面)をJAS化されました。それに伴い、2020年の東京オリンピックの国立競技場がカラマツの保存処理構造用集成材(100年保証)で建設されています。屋内では、半永久的に接着力を維持すると言っても過言ではありません。

 

 

▲桧の湾曲集成材の木橋(奈良県吉野郡黒滝村)⇒粟飯戸橋 ★現在でもバスが通っています。

 

▲吉野ヒノキの湾曲木橋の製造(平成5年6月のプレスライン)

 

▲当社は、その性能を確認するため屋外暴露試験を実施しています。

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