とりすみコラム

木材の表面割れと小口割れについて

集成材の材料は、木材を製材し板状にして含水率を15%以下に乾燥されていますが、直射日光があたる場所や外気が乾燥する環境にさらされますと表面割れや小口割れが発生することがあります。この現象は、木材の持っている特徴でもあります。木材は、自然の副産物ですので細胞繊維でできていますから、外気の環境になじむ性質があります。

つまり、周りの環境条件が湿度が高いと水分を吸収して細胞繊維が膨張します。また、周りの環境条件が乾燥するような状態におかれますと水分を放出して細胞繊維が収縮します。木材は、自然の条件で調湿してくれますので人間の生活環境にやさしい建築材料と言えます。

 

Q:なぜ、割れるのでしょうか?

A木材は表面が乾燥すると収縮します。しかし、木材の内部まで乾燥して収縮しませんからその表面と内部の力(応力)の勝ち負けが起こります。その力の逃げ道が木材の表面や小口で緩和され、それが割れとなって現れます。これを専門用語で木材の応力緩和と言います。特に小口割れは、直射日光があたると必ずと言って割れが発生します。これは、木材が生きているときに、水分を吸収する導管が小口断面にモロに現れますので、水分を放出して急激に収縮する性質が大きいためです。割れは、下の写真の通り、木材の年輪の中心から外向き(放射状)に進みます。特に板目は、収縮率が柾目の2倍もありますので割れ易いです。

Q:この自然の割れは、強度に影響を及ぼさないのでしょうか?

A木材は、セルロースとヘミセルロースと言う繊維で形成されています。木材は自然な地球環境になじむ性質がありますから、膨張収縮を繰り返す宿命に生まれてきた植物と言っても過言ではありません。その自然の木材は、人間には見た目の割れが欠点として捉えられますが、木材としては自然な生理現象ですから、割れは繊維を切断破壊せずに、繊維と繊維の間に隙間が出た状態になるだけで、強度をそのまま保っています。

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